エントリーシートの意味と役割

就職活動で必要となる「エントリーシート」は、自分を会社に知ってもらうための大事な紙です。履歴書のように名前や学歴を書くこともありますが、それ以上に「どんな人なのか」「なぜこの会社で働きたいのか」を伝えることが求められます。

なぜなら、会社はたくさんの人の中から、自分たちと合いそうな人を選ぶ必要があるからです。そのためには、その人の考えや行動、価値観などを知る必要があります。エントリーシートは、そのための最初の入り口になります。

たとえば、以下のような内容がよく求められます:

  • 自己紹介や自己PR
  • 志望動機
  • 学生時代にがんばったこと
  • 自分の長所と短所

このように、エントリーシートは「自分という人を伝える道具」です。まずはこの役割をしっかり理解することが大切です。

履歴書とのちがいを知ろう

エントリーシートと履歴書はよく似ていますが、目的が少しちがいます。履歴書は事実を伝えるための紙で、エントリーシートは気持ちや考えを伝えるものです。

たとえば、履歴書には以下のような項目があります:

  • 名前、生年月日、住所
  • 学歴、職歴
  • 資格や免許

一方で、エントリーシートではこういったことを書きます:

  • 志望動機
  • 自己PR
  • 学生時代に力を入れたこと

つまり、履歴書が「外見の情報」だとすれば、エントリーシートは「心の中身」を伝えるものです。このちがいを知っておくことで、正しく書き分けることができます。

読みやすい文字数と段落とは?

エントリーシートを書くときに大切なのは、読みやすさです。どれだけいい内容を書いても、読みづらいと良さが伝わりません。

そのために意識したいのは以下の3点です:

  • 1文は長くしすぎず、60〜80文字以内にする
  • 1つの段落は3〜5行くらいでまとめる
  • 段落ごとに1つの話題を書く

こうすることで、読む人が内容を理解しやすくなります。また、空白行をうまく使うと読みやすく見えます。

たとえば、「学生時代に力を入れたこと」を書くときも、長くダラダラ続けず、「何を」「なぜ」「どうやって」「結果どうなったか」を分けて書くと、スッと読んでもらえます。

自分の強みをどう伝えるか?

自分の強みを伝えるには、はっきりとした言葉と具体的な経験が大事です。自信を持って「これが私の強みです」と伝えることで、読み手に安心感を与えられます。

ポイントは以下の3つです:

  • 結論から書く(例:「私は計画を立てて行動する力があります」)
  • その理由や背景を説明する
  • 実際のエピソードを入れて証明する

たとえば、「私は人と協力することが得意です」と書いたなら、サークル活動やアルバイトなどでの具体的な場面を出すと、信ぴょう性が高まります。

敬語や言葉づかいの注意点

エントリーシートでは、言葉づかいにも注意が必要です。とくに敬語を正しく使うことは、社会人としての基本と見られます。

よくある間違いとして、以下のようなものがあります:

  • 「御社に入社したいと思っています」→「貴社に入社したいと考えております」
  • 「やらせていただいた」→「経験させていただきました」

また、以下のような点も気をつけましょう:

  • くだけた言葉(例:めっちゃ、すごく)を使わない
  • 同じ言葉をくり返さないよう工夫する
  • 丁寧語・尊敬語・謙譲語のちがいを意識する

文章の最後をすべて「〜です」で終わらせるのではなく、「〜します」「〜いたしました」「〜と考えております」などと変化をつけることで、読みやすさも増します。

結論から書くと伝わりやすい

文章の最初に結論を書くと、読み手に内容が伝わりやすくなります。なぜなら、人ははじめに「この人は何が言いたいのか」を知りたがるからです。

たとえば、「私は人の気持ちに気づく力があります」と最初に伝えると、その後の内容も読みやすくなります。逆に、だらだらと前置きを長くすると、印象が弱まってしまいます。

PREP法(結論→理由→具体例→まとめ)を使うと、文章にまとまりが出ます。

数字を使ってわかりやすく

数字は説得力を強くします。「がんばった」だけではなく、「100人の中で1位になった」「週に5回練習した」などの数字があると、読み手にしっかり伝わります。

たとえば、アルバイトで売上を上げた経験を書くなら、

  • 「〇%アップした」
  • 「〇人の新規客を担当した」
  • 「〇時間かけて準備をした」 など、具体的な数字を入れましょう。

数字があるだけで、「ほんとうに努力したんだな」と思ってもらえます。

企業ごとの工夫を忘れない

すべての会社に同じエントリーシートを出してしまうと、「この人は本気でうちに来たいのかな?」と疑われます。会社ごとに内容を変えることが大切です。

とくに以下のポイントを変えてみましょう:

  • 企業の考えに合った言葉づかい
  • 志望動機にその会社ならではの内容を入れる
  • ホームページなどで調べた情報をもとに書く

このような工夫をすることで、「この人はうちのことをよく調べてくれたんだな」と良い印象を持たれます。

読み手の気持ちを考える

読み手は、限られた時間の中で多くのエントリーシートを読みます。そのため、読みやすく、伝わりやすい文章を書くことが大切です。

以下の点を意識しましょう:

  • 同じ言葉をくり返さない
  • 長すぎる文を避ける
  • 難しい言葉は使わず、やさしい言葉でまとめる

また、「この人と一緒に働きたい」と思ってもらうためには、自分の人柄や考え方がよく伝わるように心がけましょう。

何度も読み直してミスをなくす

エントリーシートを書いたあと、すぐに出さずに何度も読み直すことが大切です。誤字や脱字があると、「この人は注意力がない」と思われてしまいます。

チェックのコツは以下の通りです:

  • 一晩おいてから見直す
  • 声に出して読んでみる
  • 家族や友人にも読んでもらう

このようにして、文章のミスを減らすことで、より良い印象を与えることができます。

手書きとパソコン、どちらがいい?

どちらも使われますが、最近はパソコンでの提出が多くなっています。理由としては、見やすく読みやすいこと、保存や送信がかんたんだからです。

ただし、企業によっては「手書き」を求めるところもあります。ですので、応募先の案内をしっかり読んで、指示にしたがいましょう。

手書きの場合のポイント:

  • 字をていねいに書く
  • 黒のボールペンを使う
  • 書き直すときは最初から新しく書く

このように、「気持ちがこもっている」と思ってもらえるように仕上げることが大切です。

空欄があると不利になりますか?

基本的には、すべての欄をうめるようにしましょう。空欄があると「やる気がない」と思われることがあります。

もし、どうしても書けない内容がある場合は「特になし」と記入するほうが印象は良くなります。

空欄を防ぐための工夫:

  • 事前に質問内容を調べておく
  • 自分の経験や考えを書き出しておく
  • 家族や友人と話しながらアイデアをふくらませる

準備をしっかりしておけば、書けないということは減らせます。

書いたあと提出前にやるべきこと

提出前にもう一度確認しておくことも大切です。せっかく良い内容でも、間違いや抜けがあると印象が悪くなります。

以下のチェックリストを使って確認しましょう:

  • 誤字・脱字はないか
  • 内容は整理されているか
  • 読みにくい言い回しがないか
  • 指定された形式(ファイル形式・提出方法)になっているか

このような最終確認をすることで、より自信を持って提出できます。

エントリーシートで大切なのは、「自分を正しく、わかりやすく伝えること」です。内容だけでなく、書き方や読みやすさも合否に影響します。

今回のポイントをふりかえると:

  • 読みやすい文章の形を意識する
  • 自分の強みをはっきりと伝える
  • 会社ごとに工夫を入れる
  • 数字を使って説得力を上げる
  • 誤字脱字をしっかりチェックする

これらを意識することで、相手の心に届くエントリーシートになります。自分の気持ちをこめて、ていねいに書き上げましょう。